とある物件の事件簿 地雷をすべて踏む売り仲介

はじめに

不動産取引は、仲介会社選びで「無事に終わるか」が大きく変わります。今回は、売り側の仲介会社が契約から決済までの地雷をすべて踏んだ、ある土地取引の話です。

私たちは買主様側の仲介(買い仲介)、相手方は売主様側の仲介(売り仲介)という、よくある「共同仲介」の形でした。通常、売買契約書や重要事項説明書(重説)の作成、境界の確認、売主様の借入の抹消手配などは売り仲介が主導します。ところが今回は、そのすべてが機能しませんでした。

※実話をもとに、物件や関係者が特定されないよう再構成しています


事件その1:3回戻しても完成しない契約書

最初の地雷は、売買契約書と重説のドラフトでした。売り仲介から届いた原案は、物件の表示や法令上の制限、特約の内容など、確認するたびに訂正が必要な箇所が見つかりました。

修正を依頼して戻ってきた版も、また別の箇所が違う。これを3回繰り返しても完成しないため、最終的には弊社で契約書と重説を作成しました。買主様に不利な内容のまま契約するわけにはいかないからです。

この時点で「この取引は最後まで気が抜けない」と覚悟しました。そして、その予感は的中します。


事件その2:4つのはずの境界標が6つある


契約後、売主様による境界明示のため現地を確認しました。四角い土地なら境界標は通常4箇所です。ところが現地には6箇所の境界標が入っていました。「どれが本当の境界ですか?」と尋ねても、売り仲介の担当者は答えられません。

過去の測量や隣地とのやり取りを把握していなかったのです。

境界が不明のままでは、引渡し後に隣地とのトラブルや、将来の売却・建替えで問題になりかねません。

そこで弊社で土地家屋調査士を手配し、現況調査を実施。資料と現地を照合して、正しい境界を特定しました。

本来は、売り仲介が売主様と一緒に契約前から準備しておくべき内容です。


事件その3:決済直前、抵当権抹消の準備がされていない

最大の地雷は、残金決済の直前に爆発しました。売主様の借入先銀行へ、抵当権抹消の連絡がされていなかったのです。

抵当権の抹消には、銀行が抹消書類を用意し、決済当日に司法書士へ渡す段取りが必要です。

銀行によっては、書類の準備に1〜2週間ほどかかることもあります。

書類が揃わなければ、所有権移転も残金の支払いもできず、決済は延期です。

ここで動いたのが、元信用金庫職員の私です。銀行内部で抹消手続きがどう進むか、

どこに相談すれば早いかは、経験で知っています。

売主様の借入先銀行と司法書士の間に入って段取りを詰め、何とか決済日に書類を間に合わせました。

もし決済が延びていたら、買主様の融資実行日や引賃貸条件の切替などにも影響が出るところでした。


な元信金マンの目線で言うと、銀行は「急に言われてもすぐは動けない」組織です。

抹消は契約が決まった時点で連絡するのが鉄則です。


仲介会社を見極めるチェックリスト

売る側も買う側も、次の点を担当者に質問してみてください。答えが曖昧なら要注意です。

  • 契約から決済までのスケジュールを、聞いたらすぐに答えてくれるか
  • 契約書・重説の案を、契約日の数日前までに届けてくれるか
  • 測量図の有無と、境界標の現地確認を済ませているか
  • 売主の借入先銀行へ、いつ抹消の連絡をするか決めているか
  • 司法書士や土地家屋調査士など、専門家との連携体制があるか
  • 質問への回答が早く、根拠資料を添えてくるか

まとめ

今回は買い仲介側ですべてカバーし、無事に決済を終えることができました。

しかし、どれか一つでも拾い損ねていたら、決済延期や引渡し後の紛争につながっていた可能性があります。

世の中には、すべての地雷を踏む仲介会社も存在します。物件だけでなく、

「誰と取引するか」まで含めて確認することが、大切な資産を守る第一歩です。


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