
“全部持ち続ける”が正解とは限らない――複数棟オーナーのポートフォリオ入れ替え術
札幌で複数の投資用不動産・収益物件を保有していると、「すべてを持ち続けることが最善とは限らない」という判断が必要になる場面があります。長く持っている物件ほど愛着もあり、「売る」という選択肢はなかなか考えにくいものです。
結論から言うと、1棟だけを見て判断するのではなく、保有するすべての物件を一覧にしてポートフォリオ全体の中での位置づけを確かめ、売却で得た資金を全体の最適化に生かす「入れ替え」の考え方が大切です。今回は、複数棟を保有する資産管理法人が、ポートフォリオの一部を選別的に売却した実例をもとに、入れ替えの考え方を解説します。
ご相談の内容
複数の収益マンションを保有する法人が、1棟の売却を検討したケースです。
札幌市内に複数の収益マンションを保有する資産管理法人様のご相談です。各物件は複数の金融機関から順次融資を受けており、長期にわたり世代を跨いで運用されてきた実績がありました。
その中で、収益性や資産性の観点から見劣りする1棟について、保有を継続すべきか、売却すべきか判断に迷われていました。加えて、担保設定が複数物件にまたがって複雑に絡み合っており、単純に売却するだけでは整理がつきにくい状態でした。
保有ポートフォリオ全体を俯瞰して判断する
1棟だけを見て売却の是非を判断するのではなく、保有する全物件の収益力・資産性・築年数・借入残高を一覧化し、ポートフォリオ全体の中でその物件がどう位置づけられるかを確認することが第一歩です。今回のケースでも、全体を俯瞰した上で、対象物件が相対的に見劣りするという判断に至りました。
一覧にするときは、次のような項目を並べると比べやすくなります。
| 項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 収益力 | 家賃収入から経費と返済を引いた手残り、空室の推移 |
| 資産性 | 立地、土地の評価、今売った場合の価格の見込み |
| 築年数 | 今後の大規模修繕の時期と費用の見込み |
| 借入残高 | 金融機関、残りの期間、金利 |
| 担保の状況 | どの借入の担保に入っているか、ほかの物件とまたがっていないか |
複雑な担保設定を整理する
複数の金融機関から段階的に融資を受けている場合、担保が複数物件にまたがって設定されていることがあります。売却にあたっては、登記関係を精査し、どの担保をどう整理すれば売却が可能になるかを、金融機関と調整しながら進める必要があります。
売却する物件が、売らない物件の借入の担保にも入っている場合、そのままでは担保を外してもらえないことがあります。売却代金でどの借入をどれだけ返すか、ほかの物件で担保を補う必要があるかなどを、事前に金融機関とすり合わせておくことが大切です。こうした調整には時間がかかることもあるため、売却を考え始めた段階で登記簿を確認しておくと安心です。
売却資金を次にどう活かすか
今回のケースでは、対象物件を一般媒介で売却する方針を整理し、得られる資金を他の保有物件の借入圧縮や、次の物件取得の原資に充てるという「入れ替え」の考え方をご提案しました。単に手放すのではなく、ポートフォリオ全体を最適化する一手として位置づけることがポイントです。
なお、一般媒介とは、複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約の形です。売却で利益が出る場合は税金もかかるため、手元に残る金額は税理士に確認しながら試算しておきましょう。
持ち続けるか入れ替えるかの判断軸
判断の軸となるのは、次の3つです。
- その物件が将来も安定した収益を生み続けられるか
- 修繕コストが今後増大する見込みがないか
- 売却によって得られる資金が、ポートフォリオ全体にとってより有効に使えるかどうか
北海道の物件では、屋根や外壁、暖房設備など、寒さと雪に関わる修繕費も見込んでおく必要があります。今後の修繕費が大きくなりそうな物件は、修繕をしてから持ち続けるのか、修繕前に売るのかも含めて比べてみるとよいでしょう。
複数棟オーナーほど定期的な棚卸しを
複数の物件を長期保有していると、いつの間にか「なんとなく持ち続けている」状態になりがちです。定期的にポートフォリオ全体を棚卸しし、入れ替えの必要性を検討することが、資産全体の健全性を保つことにつながります。
決算のタイミングなど、年に一度は一覧表を更新し、物件ごとの役割を見直す習慣をつけておくと、売り時や買い時を逃しにくくなります。
まとめ
複数棟を保有していると、すべてを持ち続けることが最善とは限りません。全物件を一覧にしてポートフォリオ全体での位置づけを確かめ、複雑な担保設定を整理したうえで、売却資金を借入の圧縮や次の物件取得に生かす「入れ替え」の考え方が大切です。定期的な棚卸しが、資産全体の健全性を保つことにつながります。
複数棟を保有されているオーナー様は、ぜひ一度ポートフォリオ全体のご相談にお越しください。
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