
【融資レポート 2026年秋号】担当・橋本が見た札幌の融資事情
結論から言うと、2026年秋の融資は「相談先を広げ、資料できちんと説明できる人」ほど選択肢が増えている、というのが私の実感です。
私は信用金庫に18年間在籍し、2,500件を超える融資審査に携わってきました。
今は収益不動産の仲介をしながら、お客様の物件ごとに金融機関へ事前相談をしています。
この「融資レポート」では、四半期ごとに、私が実際に打診して感じた融資の動きをお伝えします。
創刊号の今回は、2026年8月〜10月の動きをまとめました。
金融機関の動き:相談できる先が広がっている
この3か月、私が事前相談した先は、道内の地方銀行・信用金庫だけでなく、東京に本社のある銀行やノンバンクにまで広がりました。
きっかけは、10月に北海道大家塾の皆様向けに開いた「融資万博2026 札幌」です。
複数の金融機関と直接話せる場で、そこでつながった担当者の方からも、
札幌・旭川・岩見沢・岩内などの物件で、すぐに評価や事前審査を引き受けていただけています。
私が感じている、金融機関ごとの最近の反応は次のとおりです。
■信用金庫
支店内で検討し、修繕状況も踏まえて期間を提示してくれました。
地元に住む会社員の方の1棟目や、小さめの戸建てに向いています。
■道内の地方銀行
物件資料をもとに、まず机上で評価してくれます。
築浅〜築中のRC物件や、年収・資産など属性の強い方に向いています。
■東京系の銀行
物件を評価したうえで、金額・金利・期間の目線を回答してくれます。
金融資産や年収に余裕のある方に向いています。
■ノンバンク
築古や地方の物件でも、前向きに評価してくれます。
自己資金を抑えたい方や、銀行では難しい物件に向いています。
信金で審査していたころから実感していますが、同じ物件でも金融機関によって評価は大きく違います。
得意な物件、得意なお客様のタイプが、それぞれ違うからです。
1社に断られても、あきらめるのは早いというのが現場の実感です。
打診事例1:築古戸建ては「修繕の資料」で期間が伸びた
築古物件の融資で大事なのは、築年数よりも「修繕の見通しを数字で示せるか」だと私は考えています。
それを実感したのがこの案件です。
札幌市内の築古戸建てを、会社員の方が1棟目として購入するご相談でした。
借入額は600万円程度、希望期間は15年です。
- 信用金庫に、販売資料・お客様のプロフィール・修繕状況の一覧を添えて相談
- 金庫側から、今後かかる修繕費用について追加の確認
- 修繕費用を調べて回答
- 支店内で再検討し、「12年なら検討できる」との回答
希望の15年には届きませんでしたが、修繕費用を調べて示したことで、前向きな検討につながりました。
審査する側が気にしているのは「返済中に大きな出費がないか」です。
打診事例2:ノンバンクは金利高めでも「長い期間・高い融資割合」
築年数の経った一棟物件でも、ノンバンクでは長い期間で大きな金額を検討できた例がありました。
札幌市内の築約37年の一棟アパート(価格5,000万円台・満室・表面利回り約9%)で、
私が事前に打診した際の感触です。
- 融資額:物件価格の約89%
- 金利:4.8%
- 期間:30年
- 毎月の返済:約24.7万円
- 別担保を出せる場合:フルローンの可能性あり
建物は築37年で評価がほとんど残っていませんでしたが、地形は整っていないものの土地が広く、
土地の評価がしっかり出ていたことが大きかったと私は見ています。
このノンバンクは、築浅の物件でも長い期間を取れます(次の事例3でご紹介します)。
また、借入額によって金利が1%ほど変わるほか、別担保の提供や、
後順位での担保設定(すでに他の借入の担保に入っている不動産に、二番目以降として担保を付けること)
が認められる場合もあります。
金利は銀行より高めですが、期間を長く取れるので毎月の返済を抑えられます。
ただし、金利が上がれば手残りは大きく減ります。
購入前に、金利を上げた場合の事業収支計画も確認しておくことをおすすめします。
打診事例3:築浅の木造アパートに40年の期間が付いた
築浅の物件なら、木造でも長い期間で借りられる可能性があります。
岩見沢市の築5〜7年ほどの木造一棟アパート2棟で、事例2と同じノンバンクに
事前審査をお願いしたところ、2棟とも融資期間40年という結果でした。
木造アパートの法定耐用年数は22年です。銀行では「耐用年数から築年数を引いた残り」
を期間の目安にすることが多く、築7年なら15年前後になることもあります。
それと比べると、かなり長い期間です。
期間が長いほど毎月の返済額は小さくなり、手元に残るお金は増えます。
ただし、完済までに払う利息の合計は増えます。長い期間で借りたうえで、
毎月の手残りを修繕の積立や繰り上げ返済に回す計画を立てておくことをおすすめします。
打診事例4:同じ銀行でも「劣化対策等級」で期間が12年違った
建物の性能を証明できる書類があると、銀行でも融資期間が大きく伸びることがあります。
ある地方銀行で、一棟物件の案件2件が、どちらも9,000万円を超える金額で承認されました。
違いが出たのは期間です。
- 劣化対策等級2級あり:融資期間35年
- 劣化対策等級なし:融資期間23年
劣化対策等級は、住宅性能表示制度で「建物の構造がどれだけ長持ちするように対策されているか」を示すものです。
等級があると、銀行は「返済中に建物の価値が保たれる」と判断しやすくなります。
同じ金額でも、35年と23年では毎月の返済額が大きく変わります。
新築や築浅の物件を検討するときは、住宅性能評価書があるかどうかを、
最初に確認することをおすすめします。
事前審査で求められる書類
事前審査では、物件の資料とあわせて、買主様ご自身の書類も早い段階で求められます。
ある信用金庫で賃貸用戸建てを相談した際の例です。
- 土地・建物の登記簿謄本(3か月以内、インターネット謄本も可)
- 固定資産税の課税明細(最新年度)
- 源泉徴収票3年分
- 運転免許証の写し
- 今ある借入の明細
- 自己資金を確認できる通帳の写し(後日、原本確認あり)
入居中の物件では、「今の入居者がどれくらい住んでいるか」も聞かれました。
これらを先にそろえておくと、回答までの日数を短くできます。
私からのアドバイス
- 複数の金融機関に同時に相談する 評価は金融機関ごとに違うため、条件を比べてから選べます。
- 修繕の履歴と今後の費用を数字で示す 築古物件ほど、期間の判断に直結します。
- 申込人のプロフィールを整理しておく 年収・勤務先・自己資金・保有資産を、1枚にまとめておくと話が早く進みます。
- 金利が上がった場合の収支も確かめる 金利や期間を変えた事業収支計画で、安全な借入額を把握しておきましょう。
「こんな物件で融資が通った!」情報を大募集!!
「築古でもこの期間で借りられた」「この金融機関はこんな物件に前向きだった」など、皆様の体験談を募集しています。
小さな情報でも大歓迎です。
物件の種類・エリア・築年数
- 金融機関の種類(信用金庫・地方銀行・ノンバンクなど)
- 借入額・金利・期間、自己資金の割合
- 審査で工夫したこと、聞かれたこと
いただいた情報は、お名前や物件が特定されない形にしたうえで、次号以降のレポートでご紹介させていただくことがあります。
掛載を希望されない場合は、その旨を添えてください。
▶ 情報のご提供はこちら:https://www.r-ownersvision.com/contact/
(本文の最初に「融資情報」とご記入ください)
まとめ
会員登録いただくと、「融資打診済み」の物件や一般公開前の物件情報をいち早くお届けします。
次の冬号は2月にお届けする予定です。
- 会員登録はこちら(無料):https://www.r-ownersvision.com/member/
- お問い合わせ・融資のご相談・「通った」情報のご提供:https://www.r-ownersvision.com/contact/
■オーナーズビジョンの紹介動画
私たちがどんな会社か、動画でご紹介しています。
▶ https://www.youtube.com/watch?v=doUs0TD16Ck
執筆:橋本 隆史(オーナーズビジョン株式会社 不動産営業部 課長)
信用金庫に18年間在籍し、渉外・融資を担当。法人融資・個人融資・住宅ローン・ビルアパートローンなど、2,500件を超える融資審査に携わりました。その後、札幌市内の不動産賃貸業の会社で、レジデンス4棟・テナントビル2棟の運営、新築RC2棟・中古木造アパート2棟の取得などを経験。現在は収益不動産の売買仲介に携わっています。
保有資格:宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種 ほか
